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ホンモノの右翼とは何か ――宮台真司(2005)より

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前便 「右翼とは何か、あるいは右翼と宗教」の続便です

ここでは 「ホンモノ」の右翼とは何か、語られています

宮台真司先生と北田暁大先生との対談集(2005年刊)より

宮台先生の発言の一節です

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 こうしたホンモノ右翼の立場が「世の中には合理的に説明できないものがある」「科学には限界がある」といった非合理主義や反近代主義と同一視されるなら問題です。なので、僕は『サイファ 覚醒せよ』(以下、『サイファ』)を著しました。そこで述べたとおり、「科学では説明できないものがある」とされる事柄のほぼすべてが、科学で説明できます。そんなことは問題じゃない。

 〈世界〉は規定可能ではないとする右翼の立場は合理的です。たとえば「〈世界〉はなぜあるのか」という問いは、根源的規定性を露呈させる。答えが〈世界〉の外にあれば、〈世界〉はあらゆる全体だから矛盾する。答えが〈世界〉のなかにあれば、〈世界〉はあらゆる全体だから全体の存在理由が一部に対応するという矛盾をきたす。なのに問いは有意味なのです。

 「なぜ私はアナタでないのか」という問いも、根源的未規定性を露呈させます。分析哲学者のクリプキが『名指しと必然性』という本で、固有名の同一性と〈世界〉の同一性が、等価であることを示しています。〈世界〉の存在理由は、さきほど述べた理由で根源的に未規定であるがゆえに、「私」が入れ替え不能である理由も未規定です。主意主義はこの事実にこだわるんです。

 したがって主意主義的=右翼的な感受性は、「私が他ならぬ私であること」「ここが他ならぬここであること」への驚きへと開かれます。だからパトリオティズム(愛郷主義)をもたらします。パトリオティズムとは入れ替え可能化に抗う思想のことです。ゆえに「たかが人為的構成物にすぎぬ国家がパトリを屠るなら、これを革命する」――これぞ右翼の本義です。

34-35頁: ルビと脚注は省略

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ここまで述べたところで 附論が一段落 つきます

ちなみに、 さらにこの後には

「ホンモノ右翼とヘタレ右翼の違い」 が解説されますが

それはまた 次便で

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 ちなみにスメント流のドイツ国法学が、入れ替え不能性を崇高な精神共同体たる国家に等置、その伝統上に国家社会主義を標榜するファシズム国家が生まれます。日本でも、後期水戸学から吉田松陰への流れが、天皇を中心に据えるかたちで似た論理を展開、維新政府が生まれる。でもこれらは近代後進性ゆえの人為的配置であって、右翼思想的には完全に傍流です。

35頁: 脚注は省略

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